卒業アルバムのご依頼をいただいた時の状況。
それまでの卒業アルバムは、生徒が共同で制作をするものでした。
どうしても切り張りをしてしかも全員が載るように、写真も小さくなり、 例えば修学旅行のページなどは、グループの写真が切り張りをしたもので、 どこに行って、何をしたのかなどは載っていませんでした。
「あまり良くない卒業アルバムをなんとかして欲しい」というご依頼でした。 そこで「卒業アルバム」はどのようなものが良いのかを考えました。
卒業アルバムの意義
思い出とはなんでしょう。
例えば入学式に出席をしたとします。 同じ場所で同じ体験をすれば全員が同じ思い出になるのでしょうか?
10人いれば10人とも別々の思い出になると思います。
卒業アルバムはどんなものが皆さんに喜んでいただけるのかを考えなければ、制作はできません。
卒業アルバムが一番役立つのはいつなのでしょう
アルバムが役に立つのは10年・20年経ってからではないかと思います。
学校を卒業し社会人となって悩み苦しみにあった時に、昔の自分を思い出し元気になる手助けができるような卒業アルバムをお作りしたいと思いました。
同じ体験をしても、全員がバラバラの思い出しかないのに、どのようにしたら10年後・20年後の皆さんに喜んでいただけるものがお作りできるのか。
当店の卒業アルバム制作の原点がここにあります。
思い出は個々人の思い入れであり、全てが異なります。
また記録をする制作者側も、個人の目を持って制作をするわけです。 中立で公正な記録はできるわけがありません。 あなたの思い出と合うわけがありません。
運動会のページが2ページあったとします。 どのように作りますか。学年では200人とか300人とかいます。 (今の時代はもっと少ないと思いますが)どのように制作をしますか。
公平に学年の人数で割って、一人一枚自分の好きな写真を選んでもらって、載せますか。
よくやられていたのは、行事のページでは必ず1枚自分の写っている写真を載せられるように配慮をする。というやり方です。 頁を20分割か30分割をして、各個人の写ってるものを選んでもらって載せるという方法です。 修学旅行のページなどはみんなの顔が載るように集合写真が小さく並んでいたりもします。
必要な人は写真を購入をして手元にある写真を、再度卒業アルバムに収録をしたいのでしょうか。 自分の顔が3枚とか5枚とか小さく載っていて、それの集合体である卒業アルバムを大枚1万円以上も出して購入をし、それでも思い出があるから良いということなのでしょうか。
当店のめざした卒業アルバム
当店が皆さんのために制作をさせていただきたい卒業アルバムとは、「写真集」を制作させていただきたいということでした。
アルバムと写真集の違い
アルバムはそれぞれの思い出の記念写真をそれぞれアルバムに随時貼っていく七五三の写真の次は入学式だったりします。
写真集は、それぞれテーマに沿って写真を並べて一冊で一つのテーマを見る人に訴えます。 当店では卒業アルバムではなく卒業記念写真集を制作させていただこうと思いました。
テーマは学校生活です。
20年・30年経ったのちに、見ていただくことを主眼としています。
つまり大人の方が見て鑑賞に耐えるものをお作りしたいと思いました。
それまでの卒業アルバムは、クラスの集合写真、クラブ活動の集合写真、行事のページが、主なものでした。 行事などは、入学式、運動会、修学旅行、林間学園などは学校生活のごく一部にすぎません。(学校生活の集大成だという方もいらっしゃいますが) 毎日毎日学校へ行って何をしていたのかを記録をすることが一番大事なことだと思います。
日常の生活をメインに写真集を作りたい。
何年か後に何十年か後に見て、色々と思い出す手段になれば良いのではないでしょうか。
運動会のページで、みんなの顔が平等に写っているよりも、当日の天気がどうだったのか、どんな種目に出たのか、何が一番楽しかったのかなどの記録の方が、みんなの思い出のためには重要だ他考えます。
1年の中の1日だけの特別な行事よりも毎日の日常の記録が重要です。 ただし、記録する人間も個人であり、個人の思いで撮影をします。 必ず偏見があり偏った見方も当然出てしまいます。
同じものを同時に100人が体験すれば、100通りの思い出になります。 これはどうしようもありません。 10人のアルバム委員が作ったアルバムは全員の総意でしょうか。 妥協の産物ではありませんか。
当店での制作は、アルバムではなく「写真集」を制作します。 第一義は公平を期すということですが、撮影者の主観がもちろん入ります。 同じ場所で同じ体験をした人間が記録をした写真集を制作します。
それをご覧になった時に、新たに発見をしていただけるように制作をすることを目標にしました。
たとえば校舎。いつも見慣れているはずの校舎がこんな表情をしていたのか。と新たに発見をしていただける写真を写すことを心がけました。
日常を記録するのですから、卒業年度だけではなく入学から卒業までの記録をできるだけ入れるようにも心がける。
なかなかできることではありませんが、ご理解いただける先生も多かったので、少しづつですが思っているような写真集になっていきました。 当店の悪戦苦闘の歴史です。
もちろん年度ごとに卒業学年のご判断によって卒業アルバムの制作が(業者の選定から)決まるので、 独断でこんなふうな卒業アルバムが良いということではありません。ただし当店では中学校では入学からの3年間の取材。小学校では入学式からの6年間の取材をできるだけさせていただけるようにお願いをしていました。
私が中学生の頃だったと思います。東京でオリンピックがありました。
その記録を市川崑氏の監督で「東京オリンピック」という記録映画ができました。 当時たいへん感動をしました。名作です。 しかし、「偏った見方で作っているので記録ではない」というクレームが入り、再度東京オリンピック委員会編の「東京オリンピック」という映画ができました。 大昔の話なので、違っているかもしれませんが、私の記憶ではそんなところだったと思います。
私は卒業アルバムで市川崑氏の東京オリンピックを制作しようと思いました。
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